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第74回東日本整形災害外科学会に参加してまいりました。
昨年度に当院で働いた田中竜実先生が担当した症例の発表は自信をもって流暢に発表され嬉しく思いました。論文にするとのことで楽しみです。
理事長
進藤 正明
45th SICOT Congress 2025 Madrid ,Spain 3-5 /09 2025
Title: Partial Distal Biceps Tendon Ruptures: A Case Report And A Japanese Literature Review Of 16 Patients
Type: ePoster Category: Shoulder and Elbow
Takakazu Hirayama, Masaaki Shindo, Satoru Nakamura
Department of Orthopedic Surgery, Shindo Hospital, Asahikawa City, Hokkaido, Japan
で発表してきました、SICOTは1929年に創立された学会で世界最古、世界最大の国際学会です。参加数3000人以上、参加国100+、演題140session, 演者450名です。学会は高度な最先端の整形外科技術から実践中の新興技術、低所得国 発展途上国における整形外科診療の問題点、課題まで、幅広いトピックが取り上げられています。また開催地スペイン、マドリッドには壮大な歴史、文化、があり料理もおいしくスペインを堪能でき苦労した分大いに楽しめました。学会発表は喜びであり、楽ではありませんが自分を高めてくれ その国のグルメも楽しめ大変有意義で楽しいものです、是非、皆様も学会発表を楽しんではいかがですか。
学会会場 学会発表
バルにて
ピノノワール赤ワインとイベリコ豚生ハム
山羊乳チィーズと乾パン 約3000円
文責 平山
6月21日から22日まで,札幌市のホテルライフォート札幌で行われた北海道作業療法学会学術大会に参加しました.
今回は,「腱板断裂術後患者のアドヒアランス向上を目的とした介入効果の検討」という演題でポスター発表してきました.
術後リハビリの内容や術後指導などについて多くの作業療法士と意見交換をすることができました.今後の臨床に生かしていきたいと思います.
また,母校の先生方や同期,先輩,後輩にも会い,近況報告やそれぞれの取り組みを話し合うことができ,刺激をもらい充実した時間を過ごせました.
研究に協力してくださった患者様には深く感謝申し上げたいと思います.
作業療法士 古田尚也
今回は、4月から着任している柳澤先生についてお話しします。
柳澤 聖(37歳) 北海道と東川町をこよなく愛する東海大出身の先生です。
東川町の何にほれ込んでいるのかも深掘りしたいところですが、今回は本業の整形外科医師としてのご紹介をさせて頂こうと思います。
柳澤先生は、手の怪我から足の骨折まで何でもこなすオールラウンダーですが、腰の圧迫骨折の治療を積極的に行っています。そこで今回は柳澤先生が行っているBKP(経皮的椎体形成術)の手術についてご紹介します。
人間は年齢を重ねていくと骨がもろくなります。骨粗鬆症になると、転倒や打撲で骨が折れることがあります。特に高齢者が折れやすいのは太ももの付け根、背骨、手首の骨です。この中で背骨の骨折の治療法がBKP(経皮的椎体形成術)で腰の圧迫骨折の治療法です。
背骨の骨折について
背骨の骨折は、尻餅をついての転倒が原因で起こることが多いですが、中には何もしなくても背骨の骨が潰れてしまうこともあります。骨が潰れると、はじめは激しい痛みを伴います。ベッドで安静にすることやコルセットで固定をして一定期間たつと骨が固まりはじめ、徐々に痛みが消えていきます。しかし、なかには骨がグラグラして中々固まらず強い痛みが続く人もいます。
BKPは、受傷して間もない骨折してグラグラ状態になっている背骨を固めて痛みを止める手術です。
全身麻酔で、手術は20~30分で終了し、ほとんど出血もありません。
下のイラストでご覧ください
BKPのメリット
・手術が短時間で済み侵襲が少ない
・骨を固めることですぐに痛みが和らぐ
(全く痛みがなくなる方もいる)
・翌日から起きて歩くことが可能
BKPのデメリット
・骨セメントが血液内に流れて肺塞栓症を起こす危険がある
・手術した骨の上か下で新たに骨折が生じることがある(手術した骨はしっかり固まっているため上下の骨が折れやすい)
気になる入院期間や費用は?
入院期間の目安、および1割負担の方、3割負担の方の自己負担金額は以下のとおりです。
※ 椎体数に応じて金額の変化あり
手術内容 | 入院期間 | 自己負担額(1割負担) | 自己負担額(3割負担) |
BKP(経皮的推体形成術) ※1つの骨あたりの概算 |
7日程度 | 下記は高額療養制度を利用した場合の金額 | |
3.5万円
(食事代含む) |
7.5万円
(食事代含む) |
費用は高額療養費の対象
健康保険や国民健康保険加入者が、同じ月内に同じ医療機関に支払う医療費の自己負担額(食事の費用・自費分は除く)が高額になった場合は、限度額の認定証の交付を受け、入院事務担当者にご提示いただくと、病院窓口での自己負担額が限度額までの金額となります。
最後に
腰の圧迫骨折だと手術をせずにコルセットで治療を行うと1~2か月痛みが続きます。高齢の方だと少しずつ背中も丸く腰が曲がっていきます。BKP治療は1日でも早い社会復帰を目指すことの出来る治療です。当院でも4月は10人、5月は11人の方が手術を受けられています。ぜひ、こちらの治療法もご検討ください。
5月23日から24日まで、東京有楽町の東京国際ファーラムで行われた
第98回日本整形外科学会学術総会に参加させてもらいました。
23日は朝から山手線運休というアクシデントがありましたが、気候は温暖で
旭川から参加しても快適でした。
北海道大学整形外科が主催で、多くの参加者があり何人かの同門の方に久しぶりにお会いできました。
整形外科疾患の病因への遺伝子解析の進歩や当院で行われている変形性膝関節症に対するAPS治療の成績の報告など治療の進歩を感じてきました。
また転移性骨腫瘍に対しては腫瘍専門医が不足し、麻酔科体制の問題から地方では切迫骨折の方ですら、緩和医療に行ってくださいという悲惨な現状が報告されており、外傷外科医も治療参加が求められる現実について討論されていました。
朝早くからのセッションも会場はほぼ満員で、とても有意義な学会でした。
中村 智
診療の合間に二日間でしたがシンポジウム、教育研修講演など新しい知見を勉強させていただきました。
特に印象的だったのは、「膝ロボット支援手術」のお話で、実際には手術時間が長く術後成績も現時点では有意に優れた結果は出ていないとのことでした。
まだ医師による手作業のほうが優れているとのお話でした。
もう一つ、札幌から伊東学先生の「日本人医師が海外で発表するために」では丁寧でわかりやすいお話で超満員の聴衆も深く感銘しておりました。伊東先生とは彼が医者二年目の時に同じ研修病棟で働かせていただき、今でも時々お話することがあります。本当に医師として、人間として素晴らしい先生です。
理事長
進藤正明
今回のブログはリハビリ課OTグループ4人が担当します.
研修会の参加と肩関節周囲炎についてお話します.
● 先日OT4人で肩関節疾患の研究会に参加してきました.
当院でリハビリを行った腱板修復術を受けた患者様42名に対し,視聴覚媒体を用いた指導を行うことで,自己効力感の向上とアドヒアランスの改善,さらに術前後の心理状態の改善が見られたことを報告しました.
演題後の教育講演では,スポーツ整形外科の医師から肩関節脱臼例の手術画像や術後経過のMRIが多数提示され,競技復帰およびその後の再発予防についての講演を聞きました.手術のみならず,早期の競技復帰を望むアスリートとのやり取りについても触れられ,大変勉強になりました.
当院にも,サッカー競技でのケガや投球動作障害でリハビリを受けに来る学生がいます.筋や靭帯の損傷や骨軟骨炎によって試合に出場できず,落ち込んでいる子供たちの姿を目にすることがよくあります.彼らがより高いパフォーマンスで競技に復帰できるよう,効果的なリハビリテーションに加えて,自己効力感を高める関わりが本当に重要だと感じる毎日です.
● 研修会の後は,
研究会後は以前から気になっていたたこ焼きのお店へ.
とても空腹だったため,たこ焼き,焼きそば,お好み焼きと人数にしては頼みすぎましたが,どれもとても美味しかったです.わたしの一押しは濃いめソースの焼きそばです.
店内はレトロな雰囲気でた眺めるだけでも楽しく,札幌へ行く際にはまたぜひ寄りたいなと思うお店でした.
● 当院によく治療を求めてくる肩の疾患に「五十肩」があります.
「五十肩」は40~50歳代を中心に,多発する肩関節の痛みと腕が上がらない,手が後ろに回せない等の運動制限を主な症状とします.「四十肩」とも呼ぶことがありますが,最近は発症する年齢が40歳代に下がったため,「四十肩」と言われることが多くなりました.
医学的には『肩関節周囲炎』と総称とされ,外来整形外科では非常に患者様の数が多い疾患です.
五十肩は一般人口の2~5%がかかるといわれ,女性(特に非利き手側)にやや多い傾向があります.両肩同時に発症するケースはほとんどみられませんが,片方発症した後に逆も発症するというケースは6~34%あるとされています.また,糖尿病の患者様の10~30%が発症するというデータもあります.
五十肩の原因は未だ解明されておりません.
● 五十肩に似た症状で腱板損傷というものがあります.
ただ最近は,小さな外傷や血流障害をきっかけに,老化を基盤とした関節包の軽度な炎症が原因となって発症する,といった考え方もあります.基本的には,肩関節の動きに破綻が生じて,関節内やその周囲に炎症が生じることで痛みが生じることが多い病態です.
これが五十肩とはちがい,筋肉に傷がついてしまった状態ですので,本来痛みなく動かせる筋力が使えなくなってしまいます.
それにより上腕骨と肩甲骨の骨の一部(肩峰)が衝突してしまい,断裂した筋肉が挟み込まれてしまって痛みを生じます.腱板の筋は腕の自重を支えるだけでもはたらく筋肉ですので,軽いものを持ち上げるだけでも痛むことがあります.
肩こりや,五十肩,腱板断裂などと肩の疾患にも様々な原因があることがわかってもらえたでしょうか?
● 肩の痛みの訴えで多いのが,夜寝ていて痛い(夜間痛)です.
夜間痛に対しては,就寝姿勢のポジショニングがとても大切です.
仰向けに寝る時は,肘が下がらないように,タオルや枕を使って高さを調整してみてください.
横向きで寝る時は,痛みのある方を上にして大きめのクッションや布団を抱えるようにすることで肘が下がらずに寝ることができます.
● もう一つ,これらの肩の痛みがある人の多くに共通していることがあります.それは,猫背(円背姿勢)です.
デスクワークやスマホ,ご飯支度,洗い物,掃除,冬の時期なら除雪,夏になると草むしりなど前屈みの動作が多く,例をあげればキリがありません.
● そこで,ご自宅でできる簡単な運動を一つお伝えしようと思います.胸張り運動です.
座った状態で手を太ももの上に乗せて,胸を張るように肩甲骨どうしを寄せます.
仕事の合間や家事の隙間に10回程度行ってもらうといいと思います.
「背中丸まってきたな,ちょっと運動しよう」と少し意識するだけでも効果的だと思います.
24th EFORT Congress,24-26 May 2023 in Vienna, Austria
Poster Session-Shoulder & Elbow
Stabilization using the roof of the cubital tunnel as a ligamentofascial flap during anterior subcutaneous transposition of the ulnar nerve
Takakazu Hirayama and Masaaki Shindo
Department of Orthopedic Surgery, Shindo Hospital, Asahikawa City, Hokkaido, Japan
で発表してきました。
オーストリアの公用語はドイツ語ですが何処の学会も共通言語は英語です。
最終日発表で聴衆は少なめでしたがSerbia人医師に日本に行って膝関節,足外科、外傷を勉強したいのだが何処か紹介してくれないかと相談を受けました。私の勤務している進藤病院では手外科、膝 足外科と外傷をやっていると伝えておきました。
「音楽の都」ウィーンという印象が強いですが 実際は「芸術とカフェの街」で様々な所に芸術を感じ多くのカフェを目にします。私も一応、夕方にはテラスでケーキとメランジュコーヒーを満喫しました。実は48年前一週間程ですがウィーン大学形成外科Millesi教授のもとで腕神経叢麻痺の勉強をしたことがあります。当時は1ドル360円時代で半地下の安宿に泊まって大変な思いで朝早くから夜8時頃まで手術見学したことを思い出しておりました。
街は緑が多く物静かで落ち着いたしっとりとした雰囲気の成熟した大人の街という印象です。見たところ観光客も少なくマスクをした人は皆無と言ってもいいくらいで殆どいませんでした。私もマスクはしませんでした。喫煙者が少し多いのにはがっかりしました。
学会出張の際には其の都市の大学訪問を常としております。今回も1365年創立、ドイツ語圏最古最大の大学Vienna universityを訪問、階段教室見学、回廊には同大学出身の世界的著名な学者というよりも偉人の胸像が設置され学生たちはこの歴史ある大学で学べることに誇りと自信をもっている感じでUniversityとはこうあるべきと感服し羨ましくも思いました。教室は昼食時のためか学生はまばらでした。伺ったついでに昼食は学生食堂で特大キッシュとサラダ約1200円を食べましたが味は今一でした。広大な医学部付属病院で行く先に迷っていると、若手医師(アレルギー専門と言っていました)が声をかけてくれ道案内をしてもらいました、樹木緑の多いキャンパスを散策、精神分析学の創始者Sigmund Freud(1856-1939)ジークムント.フロイトの銅像に会ってきました。
文責 平山
十数年前よりサッカーグランドに人工芝が導入され、
スポーツ整形外科の学会では不意な転倒による手関節、肘関節の
外傷が報告されました。最近では急加速、減速が原因と思われる慢性的な障害が注目されております。
今回は、サッカーの試合中に突然受傷した稀な疲労骨折を紹介します。
16歳のサッカー部員で、試合中のランニングで受傷しました。
足部の外傷歴や疼痛などの前駆症状は無く接触もありませんでした。
初診時のレントゲンでは第5中足骨骨折部の近傍に骨皮質の肥大と硬化像を伴い、
新鮮骨折ではなく疲労骨折に特徴的な所見でした(写真1)。
手術時の所見でも疲労骨折特有の骨質を確認しました。
術後6週で反重力トレッドミルでのジョギング、
新鮮骨折より骨癒合が遅いので11週で公式戦完全復帰となりました(写真2)。
人工芝はメンテナンスが楽、維持費が天然芝より安価、
また降雪地域では屋外プレー期間の延長などが理由に急速に普及しています。
一方でサッカーシューズのソールとサーフェスの関連は、同じ石油化学で作られて
いるにも関わらず、芝メーカー、シューズメーカーともに研究されていないようです。
スポーツ整形外科医としては人工芝専用シューズを開発されてもよい時期だと
思います(写真3)。
スポーツ整形外科分野において報告の見ない新たな疲労骨折を紹介させていただきました。
(画像の掲載に際しご本人とご家族の承諾を得ております)
追記:2017年5月30日、当ブログで紹介した、超早期の診断とリハビリが功を奏した
中足骨疲労骨折のO君はその後札幌の強豪校に進学し、1年生からレギュラーで活躍。
北海道代表として全国高校サッカー選手権に出場しました。
理事長 進藤正明
このたび当院の平山隆三医師が、道内でも数少ない日本手外科学会・手外科指導医の認定を受けました。