医療法人社団 shindo 整形外科 進藤病院

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デュプイトラン拘縮

手のひらの皮膚の下に手掌腱膜と言われる薄い線維性の膜があります。この手掌腱膜の線維(コラーゲン)が変性し、過剰に増殖、肥厚して収縮することによって指が徐々に曲がってくる疾患です。原因は不明ですが悪性ではありません、中年以降の男性に多く環指,小指に好発します。初期には手のひらに結節、硬結,小陥凹ができ皮膚がひきつれて(図1)経過とともに索状(拘縮索)となり指が伸ばしにくくなります。さらに進行すると中指、示、母指 指関節へと徐々に拡大します(図2)。曲げることはできます。通常痛みはありませんが指を伸ばせないため拍手がしにくい、手袋をはめにくい、洗顔時に鼻や目を突いてしまうなどの支障が出ます。人種差があり白人に多く日本人には比較的少ない。長期のアルコール摂取は危険因子で、糖尿病の方はデュプイトラン拘縮になり易い傾向にあります。 反対側や足の裏にできることがあります。

図1早期、 手掌部の結節、硬結,小陥凹と皮膚のひきつれ

図2後期  拘縮索形成 指伸展困難、屈曲は可能

診断

症状が似ている疾患に狭窄性腱鞘炎(ばね指)、伸筋腱の断裂、関節ロキング、ガングリオン、腫瘍などと区別する必要がありますが手のひらの硬結、拘縮索と典型的指の変形より手外科専門医が見れば診断がつきます。

治療法

有効な内服薬はなく、指を伸ばすなどのリハビリテーションもほとんど効果ありません。指が曲がって日常生活に支障が出てくれば治療適応となります。おおよその目安は手掌部が机にピッタリくっつかなくなった(テーブルトップテスト陽性、図3)頃ですが、特に第2関節(PIP関節)が曲がってきたら早めに治療したほうがいいでしょう。

図3 テーブルトップテスト陽性

治療法には主に手術治療と局所酵素注射治療があります

手術治療

皮膚を切開して,増殖肥厚、線維化した手掌腱膜、拘縮索を切除して指を伸ばします。その際、拘束索に巻き込まれた大切な神経,血管を傷つけないように慎重に手術を行う必要があります。十分な訓練を受けた手外科専門医が行う手術です。

局所酵素注射療法(コラゲナーゼ注射治療)

2015年7月より承認された新しい治療法です。コラーゲン分解酵素コラゲナーゼ、をしこり、拘縮索部に局所注射して増殖肥厚したコラーゲンを分解、拘縮索を断ち切る治療法です。注射翌日、「指を伸ばす処置」を行います。この治療は日本手外科専門医で講習を受けた医師のみ可能です。

手術治療、注射治療ともに長所と短所があります。

予後

後療後は専門的リハビリ、装具療法を行います。拘縮再発の可能性もあります。

進藤病院は手外科認定研修施設,酵素注射治療実施施設に登録されています。

手外科専門医  (http://www.jssh.or.jp/ippan/index.html)、
デュプイトラン拘縮研究会(http://www.dck.jp/index.html

参照ください

整形外科 平山隆三